子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第5章 俺の天使
涼くんとお付き合いする事になり、両親にも相談して、
涼くんの住む、タワーマンションに、本格的に引っ越すようになった。
住み慣れたアパートを引き払い、タワーマンションに二人で暮らす。
涼くんがほとんどやってくれて、
あれよあれよという間に同棲生活が始まった。
月日は流れて、会社で人事異動が貼り出された。
『 人事異動のお知らせ
下記の人事異動の発表がありましたのでお知らせします。
記
平成◯年◯月◯日付採用
配属 (デザイン開発課)
旧所属 (総務課)
以上
社内の個人閲覧を見て、信じられない思いで、真木部長の姿を探してしまう。
あたしが……デザイン開発課に?
真木部長と視線が合い、呼ばれて傍に近寄る。
「人事異動はもう見たんだね?」
「は…い」
にっこりとした、部長としての笑顔に、どきりとする。
「君は美大のインテリア学科だったようだし、デザイン開発課も人手が足りない、即戦力を求めてるんだ」
「は…い」
「可能ならデザイナーになる道もある、開発課では君と同じ美大出身者もいるから、才能のある君ならすぐに馴染めると思うよ?」
「……才能なんてそんな…っ」
真っ赤になって首を振るあたしを、他の社員が興味津々に見ている。
「色んな賞も取ってるそうじゃないか、君が入社した時に、開発課からはブーイングが出た程だ、君はよほど有名人だったようだね?」
「…ゆ、有名人…?」
「話は色々聞いてるよ?総務課の人手も足りず、君をずっとここに引き留めて、すまなかった、総務課部長として、今後も君をサポートするから、安心してくれ」
「はい、ありがとうございました……」
総務課部長は、特に他の部署との連携を取るパイプ役だ。
仕事内容を指示されることも、指摘されることもある。
全く会えなくなる訳じゃない。
そこまで考えて、自分のデスクに戻り、首を振る。
会えなくなると、不安になるなんて……。
デスクの片付けをして、残る業務に集中して、パソコンを打ち出した。