子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第5章 俺の天使
「買ったに決まってんだろ?これからいるだろうと思ってな?」
ふっと笑う涼くんが、車を発車させた。
スマートに運転する姿が格好いいなと、見惚れてしまう。
通り過ぎる車のライト、街のネオンを見て、車内ではいつもと違う、
二人きりの空間。
どきどきしているあたしがいる。
シートベルトを締めて、車が赤信号になると、涼くんが笑いながら、
あたしに近寄る。
「…小柄だからか、ぶかぶかだな?……可愛い」
ベルトの長さを調節してくれて、あたしの方に身を乗り出す涼くんが、
甘く笑う。
あたしの頬にかかる、薄茶色の髪、目の前には不思議な色の瞳が揺れて、
艶やかに輝く。
唇が重なり、信号が青に変わり、もう一度キスをして、
車が発進した。
……顔に熱が集まり、車内が急に暑くなったような気がした。
涼くんてこんなに、優しかったっけ?
唇に残る熱を感じて、指で触れる。
……好きでいてくれてるのかな?
胸の奥が暖かくなった。
一緒にいるのが当たり前のようになり、もともと幼馴染みだから、
抱かれていても、どうしてだかいつも不安で、好きだとか、言われることもない。
涼くんの言う、大人の付き合い、体だけの関係だと少し思っていた。
付き合っている。
両親にそう報告する涼くんに、そうなんだと、喜んでたくらいで、
涼くんの距離感がいまいち分からない。
幼馴染みだから、そんなもんなんだろうかと、少し諦めていた。
「…あっ、そうだ今日総務課でね?人事の話をして、みんなに色々話かけられてね?そんなに話したことない人にまで話かけられちゃって、開発課に行くのは寂しいけど、嬉しかったんだ」
甘い空気に堪えられずに、色々話するあたしに、涼くんがふっと笑う。
「緊張してたの、もうなおった?……単純」
「……っ」
うっ……、
また顔に熱が集まるあたしに、涼くんがふっと笑う。
その笑顔が、最近増えたことに気付いて、また会話を続けたんだ。