子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第6章 大人の関係
言い訳みたいに口ごもるあたしに、被せるような野上の言葉、
「何でお見合いする必要がある?俺は凛花のこと、好きだと言っている……」
今度はあたしの方が、野上の言葉に被せるように言う。
「言ったでしょう?あたしは……野上とは付き合わない、体の関係ならいいけど……」
「どうしてそこまで俺のこと、真剣に考えてくれないんだ?」
「あたしはね……」
あたしのこだわり、イケメンとは付き合わない、その理由を野上に説明する。
うちは母子家庭で、お母さんは昔からイケメンタイプの人とお付き合いしていた。
お父さんは昔付き合ったイケメン、妊娠して捨てられた。
いつも騙されて、尽くしてばかりで、夜中に台所で泣いてる姿を何度も見た。
自分はそうならない。
そう思っても、イケメンタイプの人と付き合っては、
やっぱり続かなくて別れた。
もうこれ以上、傷付きたくはない。
結婚は条件がいい人なら、何でもいい。
優しくてお金があって、イケメンタイプじゃなければ、
浮気なんかしないし、他の女に略奪される心配もない。
だから……野上とは問題外、結婚なんて有り得ない。
そこまで説明して、野上が黙って聞いていた。
野上は自分の外見のことを分かっている。
営業の成績良さは外見もちゃんと、武器にしている。
だから営業は見た目がいい人が多い。
「俺はそんな男じゃない、他の女に目がいく訳がない、凛花のことで頭がいっぱいなんだ、これから先もずっとそうだと自信がある」
その言葉を聞いて嬉しいと思う自分がいた。
だけどやっぱり、信用出来ない。
「……あたしのことは騙されたと思って諦めてよ?遊ばれるより、遊んだ方がいいって言ってたでしょう?」
荷物を纏めて、逃げるように、野上の部屋から出る。
「……凛花!」
野上の呼ぶ声がしたけど、聞こえないように、走って、
マンションを後にしたんだ。