子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第6章 大人の関係
高級ホテルのトイレから出て、涼くんのいる席に戻り、
和やかな雰囲気でデザートを食べる。
綺麗な景色をぼんやりしながら、誠也さんのことを考えてしまう。
他の女の人と食事してるのに、どうして?
やっぱりあたしがふらついてたから、心配して?
それだけ?
すっぽりと抱きしめられて、久し振りの誠也さんの体温、
体に残る抱きしめられた、優しい感触。
涼くんの目がまともに見れない。
「……そういえばさっき、俺もトイレに行って、真木がいたな?一緒にいたのは、社長の娘だったかな?昔の幼馴染みらしいぞ?」
そう呟く涼くん、世間話のついでのように話して、
あたしを見る瞳が探るようで、心の奥まで踏み込むような、
強い視線。
「そうなんだ?社長の娘さん?涼くんも知ってるの?」
「社長室で何度か見かけたかな?見合いを勧められたこともある、一緒にいるって事は、社長が真木に結婚を勧めてるんだろうな?」
「……ふうん?」
なるべく冷静なふりをして、窓の外の景色を見る。
「綺麗だな?」
あたしをじっと見つめる涼くん。
窓の外の街のネオンのことだと思い、笑って頷いた。
あたしから視線を反らさずに、涼くんがもう一度口を開く。
「……いや、お前が、……綺麗になったと言うべきか、大人びた色気を時々見せるようになったな、俺のせいかは分からないけどな?」
……真木部長にあんな場面を見せて、そのまま別れてしまって、
涼くんとこんな関係になるなんて。
考えたら不思議だ。
「もう、中学生には見えない?」
笑いながら聞くと、大真面目に頷く涼くん。
「どこから見ても、大人のいい女だよ?」
……ずっと望んでいたことだったのに。
大人になったら、いつか、涼くんに振り向いて貰える。
ずっと、ずっと。
いつか、いつかと、
時がたてば、勝手に大人になると思っていた。