子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第6章 大人の関係
そのままホテルのスウィートルームに泊まり、涼くんと抱き合い、
繋がり合い、涼くんの胸で目を閉じて夢を見た。
……子供の頃の夢だった。
両親は夜勤か何かで家で一人で、留守番をしていた。
一人ぼっちの家には帰りたくなくて、近所の公園で遅くまで、
友達を引き止めるようにして遊んでいた。
さすがに暗くなり、友達は逃げるように、家に帰って行く。
何となく、まだ帰る気にならなくて、一人で公園でブランコに乗っていた。
『愛莉~?こんな時間まで何してるんだ~?』
涼くんだった。
中学生になってから、あんまり遊んでくれなくて、
学校から帰るのも遅くなっていた。
『遊んでるだけだよ?』
『そろそろ帰らないと、誘拐されるぞ?』
『誘拐されても、うちに誰もいないもん』
むっと口を尖らせて、涼くんからぷいと顔を背ける。
『う~ん、困ったな~?俺も行くとこあるんだけど……まぁ、大丈夫か?一緒に行こうか?』
学校から帰って、私服には着替えてる涼くん。
一度家を覗いて、誰もいなかったから、心配して探してくれたみたいだった。
『どこに行くの?』
『優しくて綺麗なお姉さんがいるとこ、お菓子とかも貰えるぞ?』
『……ふうん』
一緒に家に帰ると思ってたから、あたしの機嫌は直らないままだ。
『ほら、おんぶしてやるから、行くぞ?』
しゃがみこんで、背中を見せられて、嬉しくて涼くんの背中に飛び乗る。
『まだまだ軽いな?』
スピードを上げて、走り出す涼くん。
どこに行くかと思えば、家のマンションで、エレベーターの階数が違う。
最上階だった。
お医者さんが住んでいる階だ。
インターホンを押す涼くん、中から綺麗なお姉さんがドアを開けた。
『……あら、涼?遅かったじゃない、今日はもう来ないかと思ってたわよ?……あら?』
綺麗なお姉さんにじろじろ見られて、嫌な気分になった。
『こいつ、俺んちの隣の子供です。一緒にお邪魔してもいいっすか?』
『可愛い子は大歓迎、いいわよ?どうぞ上がって』
最上階は一人暮らしの医師が住んでいて、うちよりもやけに広く感じた。