子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第6章 大人の関係
あたしはとても不安で堪らなかった。
『ねぇ、帰ろうよ、涼くん?』
『大丈夫、そんなに時間かからないからさ?帰ったらすぐ、メシにしような?』
あたしの頭を撫でて笑う涼くん。
ベッドルームから、詩乃さんの声が、涼くんを急かせた。
そのシャツを掴むのに、優しく外されて、ベッドルームに入って行く。
ドアの向こうから、時々くぐもった声が聞こえて、詩乃さんの甲高い声も聞こえて、
あたしは涼くんに言われたように、テレビのボリュームを上げて、耳を塞いだんだ。
――――あれはなんだったんだろう?
その頃のあたしには意味なんか分からなくて、ただ怖かったという、
恐怖だけが記憶の奥底に残った。
大人は怖い。
あたしは大人になんか、なりたくない――――。