子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第8章 本当に好きな人
自分の足で歩き回って、契約を取って来るから、パワフルなヤツだとは思っていた。
身長も170センチはありそうだし、女性の割には高めだ。
色気がない、可愛い気がない、男性社員の評価はそうだけど、
今、目の前にいる川合は、会社と違って、
とても魅力的ないい女に見えた。
「気が付いたら結婚適齢期で、慌ててお見合いしまくったんです、その中で、良さそうな人と巡り会えたんですけど、いまだに恋愛は良く分からなくて……」
そう言うってことは、やっぱり婚約者はちゃんといるらしい。
そのことに安心して、一応聞いてみる。
「婚約者とはちゃんと結婚できそうなのか?」
相変わらず、残業ばかりするから、心配してたんだけどな?
「はい、婚姻届もちゃんと書いてて、ハワイで身内だけの挙式を挙げるつもりなんです」
「じゃあ、いいじゃないか、結婚後も仕事は続けるんだろ?」
「そのつもりです」
最近は結婚しても仕事を続ける女性も増えて来ている。
川合の言葉を聞いて、安心して笑ったんだった。
愛莉はもう、俺のもとには帰って来ない。
これでいいんだ。
真木の存在に、怯えて過ごすよりは、これでいい。
二人がキスしている姿を見て、何も感じなかった訳ではない。
だけど。
なにか……納得した。
真木と一緒にいる愛莉は、幸せそうに見えたからだ……。