子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第8章 本当に好きな人
なんだか夢みたい。
誠也さんと一緒に、こうして水族館デートしてるなんて。
ラフなジーンズの格好をしている誠也さん、スタイルが良くて、惚れ惚れしてしまう。
すれ違う人達が、誠也さんをチラリと見て行く。
わざわざ振り返って見るのは、大抵が女の人で、頬を赤らめている。
その様子を見て、あたしは不安になるのに、
誠也さんはそんな視線に気付かないのか、あたしがチラリと見ると、
必ず視線が合ってしまう。
慌てて水槽に視線を反らして、またチラリと見ると、やっぱり視線が合って、
何度もそれを繰り返して、堪らない気持ちになる。
…あたしが自意識過剰?
…誠也さん、お魚見てないんじゃあないだろうか?
「…誠也さん…っ、ひょっとして…、お魚…、見てないんじゃあ…っ?」
誠也さんの甘い視線に堪えきれなくて、とうとうそう聞いてしまった。
あたしの言葉に艶やかに笑う誠也さん、あっさりと頷いた。
「魚を見て表情がくるくる変わる、可愛い愛莉を見てるのが楽しいんだよ?久し振りに一緒にいられるんだ、見れずにはいられないよ?」
じっと見つめられて、手を繋がれて引き寄せられて、頬に唇を寄せられた。
短い悲鳴を上げて、水槽の中の魚達が、偶然なのか、パッと散って泳いで行く。
照らされる光が反射して、幻想的な色を生み出した。
「ああ、いいね、綺麗だ、ちゃんと見てるだろう?」
あたしを見て、ほっとため息をつく誠也さん、
距離を取ろうとして、離さないというように、繋がれた手に力が込められた。
指を絡める恋人繋ぎ。
誠也さんとしたら、こんなにもいやらしい。
時々指を立てるようにして、柔らかく握り直されて、
ドキドキして堪らない気持ちになる。
相変わらず、スキンシップが多い誠也さん、
あたしは四六時中ドキドキしっぱなしで、落ち着かないのに、
甘く笑ってばかり。
水族館でデートして、その後はレストランで食事をして過ごして、
ずっと手を繋いだまま、お互いに待てない気持ちになって、
一緒に誠也さんの住む、マンションに向かったんだ。