子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第8章 本当に好きな人
川合伊予side
そう言って、またすぐに頭を抱えて、
「ああ、また俺は…最低なことを…」
ぶつぶつ言っている。
そんな姿もまた可愛いと思ってしまう。
仕事の時の尊敬する姿とは、かけ離れているけど、
酔って面倒なことばかり、口にしてるのに。
どうしよう、
もうすぐ、結婚するのに。
気が付いたら、口を開いていた。
「じゃあ、結婚する前に教えて下さい、麻生部長が私に、……私で良ければその…慰めてあげますよ?」
頭を抱えていた麻生部長が、がばりと体を起こした。
「……そんなこと言って、俺は最低な奴だから、有り難く頂戴してしまうけど、……いいんだな?」
「はい、別に…誰とシても、一緒だと思ってるんで」
「…その言葉、後悔させてやる、違うんだと分からせてやるよ、…お前の体に…」
「はい、出来るのならお願いします」
挑むようにお互いに見つめ合う。
大将は忙しそうに働いている、店内は騒がしくなり、
会計を済ませて店を出た瞬間に、
麻生部長に抱きしめられて、唇が重なった。
いきなりでびっくりしてしまい、目を開けたまま、空に浮かぶ月が見えて、
麻生部長の綺麗な顔を照らした。
「……家はどこ?」
唇をすぐに離して、誘うように聞かれる。
一人暮らししていると、麻生部長は知っているから……。
素直に住所を言って、二人でタクシーに乗り込んだ。