子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第8章 本当に好きな人
「はあ…!?…そんな…っ、あんなこと毎日ですか…っ?」
「なんだよ、お前ちゃんと覚えてたんだ?普通にしてたから、忘れてんだと思ったよ?」
「それは部長の方ですっ」
「はい、部長ダメ」
「……っ」
道の真ん中で、急に抱きすくめられた。
至近距離でじっと見つめられる。
「名前で呼べ、ほら言ってみろよ、伊予…」
急に甘い雰囲気になり、恥ずかしくて眼を反らしてしまう。
「……涼?」
「なんで疑問系なんだよ、奥さん」
「だって…っ」
「ちゃんと呼ばないと、キスするって追加だからな?」
ぐぐっと腰を寄せられて、唇が迫って来て、焦って答える。
「分かったから、涼っ」
「…はい、…で、今日はどうすんの?奥さん?」
一緒に歩く方向が、すでにあたしの住むアパートだと、
気付いていた。
「…家に帰ります」
「それは、俺も一緒に?」
「最初からそのつもりでしょう?」
「分かってんじゃん、さすが奥さん」
やけに機嫌がいい麻生部長、
じゃなくて、涼。
こんな勢いで結婚してしまって、いいんだろうかと思いながら、
手を繋いで一緒に、あたしの住むアパートに向かったんだった。