子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第3章 頭の中から離れない
それからの総務課の業務は忙しくて、真木部長も忙しそうにしていた。
会議の準備に、社員旅行の打ち合わせ、何度も席を立つ姿を横目に見る。
時々視線が合うと、甘く微笑む。
あたしだけの甘い視線に胸が熱くなった。
社員食堂でお昼休みに、藤原さんと一緒の席でランチを食べる。
「森下ちゃんが飲み会の日にお持ち帰りされたんだって噂になってるよ?」
「……やっぱりそうなんだ」
すぐにお酒に酔ってしまう自分がはずかしい……。
「だって森下ちゃんがトイレから戻らないから、あたしがすぐに行こうとしたのに、真木部長が自分が行くって聞かなくてね?麻生さんも心配してたのに、自分がさっさとお姫様抱っこして行ったんだから~」
そっか、あの時は涼くんも藤原さんも、同じ席にいたんだっけ?
「涼くんも心配してた……?」
「まぁ、幼馴染みなんでしょ?真木部長と同僚だって言って結構飲んでたみたいだけど?」
「何となく仲がいいみたいだよね?」
社内でも会話する姿を良く見るし……。
「いや、あれは仲が良いっていうか、敵対心?二人して森下ちゃんの話ばかりしてたしね?」
「えぇっ?ってどんな話して……」
その時、社員食堂が急にざわめいて、視線を上げると、涼くんの姿が見えた。
席が開いてるとアピールしている、女性社員。
一緒にいるのは営業部のエースと名高い、野上くん、背がたかくてイケメン、
涼くんと一緒にいると余計目立っている。
眩しい二人組だ。
その野上くんが、藤原さんに手を振った。
「やあ、隣、座っていい?」
藤原さんの隣に座る野上くんに、藤原さんはつんとしたまま答える。
「返事してないのに、もう座ってるじゃない?」
「ハハ、駄目だと言っても座るけどね?」
あたしの隣の席には涼くんが、当たり前のように座っている。
「ちゃんと食べないと、大きくなれねぇよ?」
「食べてるしっ」
話に夢中になり、箸が止まっていたから、慌てて食べ始める。
あたしの頭をいつものように撫でる涼くん、社員食堂で人の目があるのに。
「ってか、さりげなくさわってない?幼馴染みとは聞いてるけど?」
藤原さんが呆れたように言って、涼くんの手を払う。
「あっ、そうなんですか麻生さん、どうりで……」