子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第3章 頭の中から離れない
真木誠也side
愛莉が足らない、朝、思わず抱きしめたから、余計に求めてしまう。
社内でも仕事に没頭しても、今まで以上に愛莉の存在を見てしまう。
休日はあんなに愛し合ったのに、可愛いい姿を何度も思い出した。
会社で会うと、冷静な頭に切り替わる筈なのに。
いつも以上に可愛い、
色気のある表情になったと気付いた。
初めてを失って、女へと急に豹変する女性もいる。
気持ち悪いけど、姉達がそうだった。
処女喪失話まで聞かされて、急に色気が増して、帰宅するのが遅くなる。
愛莉もやはり大人の女性の表情になった。
そう変えたのが自分なんだと嬉しくなり、無性にそそられた。
空いた会議室に連れて行きたい。
割と本気だったけど、彼女は真面目だから、何のことか分からなかったようだ。
残念だけど、そこがまた可愛い。
いきなりそんなことして嫌われたくないし、必死で大人の振りをしている。
食堂に行ったのは、少しでも愛莉の姿を見たかったからだ。
社内でも噂になったのも気付いていた。
噂じゃなく本気だと、アピールするのにいい機会だと思った。
社内恋愛禁止でもないし。
社長は親戚。
愛莉だって遠い親戚で、家柄も申し分ない、大事に育てられたお嬢さん。
結婚だって視野に入れている。
愛莉さえ良ければ今すぐでもいいのに、邪魔な虫は追い払わないといけない。
今日のところはあれで充分だ。
手応えを感じて、業務に戻る。
さっさと終わらせて、今日は愛莉と一緒に食事にでも行こう。
そう思って、おむすびを数個購入して、自動販売機でコーヒーを買って呼び止められた。
誰かと思えば、麻生 涼、
愛莉の思い人だ。
……さっそく来たか、
思ったよりも行動が早くて、舌打ちを内心うち、麻生の為のコーヒーも買った。
「真木、話があるんだけど、ちょっといいか?」
休憩室には何個か個室があり、親指を立ててそちらに案内する麻生。
ちゃんと真面目な話をする姿勢。
受けて立とうじゃないか。
「ああ、構わないよ」
あくまでも、余裕な姿勢を崩さない。
今さら返せと言われても返さない。
人の手に渡った瞬間に惜しくなっても、もう遅いんだ。
こちとら積年の思いがある。
負ける気はしない。