子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第3章 頭の中から離れない
「飲み会の日に、真木が愛莉を送って行ったよなあ?」
休憩室に入るなり、いきなり剣呑な態度、
缶コーヒーをお互いに飲んで、席に座り、開口一番にそう言われた。
珍しく苛ついた表情、仕事ではいつも余裕の態度な麻生が珍しい。
「ああ、そうだ、結構酔っていたから、ひとまず俺の家に連れて帰ったけどね?」
「愛莉が酔ってたのは分かっていた、俺だったら今住んでいるアパートも知ってるのに、何で俺に黙って連れて帰ったんだ?」
あの時点では愛莉が住んでいる、アパートは行ったことはなかった。
実は住所は履歴書を見た時点で、インプットされているんだが、
俺の特技でもある。
「俺のマンションの方が近いからね?」
「……それなら俺だってっ、……嫌、よそう」
ふうと息をついて、落ち着きを取り戻すように、缶コーヒーを口にする。
「お前が言いたいのは、俺が愛莉ちゃんとそうゆう関係になったかってことなのかな?」
「……社内ですでに噂になっている、あいつはあの外見のせいで、昔から苛められることも多くて、注目されることを恐れているんだよ」
「そう言う割には、随分堂々と幼馴染みアピールするんだな?愛莉に触れていいのは、俺だけだと理解して貰いたいね?」
鋭い視線で真っ直ぐに、麻生の目を見据える。
これは牽制だ。
幼馴染みとして愛莉に近付くのは、もう止めろと言っている。
「な…んだと?お前……本気なのか?遊びなんかじゃないだろうな?」
「彼女が入社した時から、一人の女性としてずっと見ていたんだ、お前のように複数の女性に目がいくこともなかったよ?」
缶コーヒーを飲み干して、腕時計に視線を落とす。
俺の言葉に息を飲む麻生、いつも涼しい表情なのに、いささか青ざめている。
これ以上、自覚されても困るだけだ。
「……ずっと子供の頃から一緒にいたから、大事にしてたんだ、いつか……大人になったらと約束してたんだよ」
「彼女はとっくに大人の女性だ、あんなに素敵な女性は二度と出会えない、もう俺の彼女だとしっかり自覚してくれよ?」
すうっと青ざめる麻生、その表情を見て胸がざわついた。