子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第1章 片思い
どちらにしても、あたしからは雲の上のような存在だ。
「そうかな?でも真木部長って森下ちゃんには、特別優しくない?」
「いやいやそれはっ、あたしがしっかりしてないからでっ」
真木部長は確かに優しい、それはどの社員に対してもだと思う。
あたしがこんなだから、買い出しの荷物を持ってくれたり、資料室で高い位置のものを取ってくれたり、
多分、お父さん目線なのかも知れないけど。
真木部長は涼くんと、同じ年、位だったと思う。
「そうかなぁ?あたしの勘は当たるんだけどね?」
「有り得ないよっ、それにあたしには涼くんがいるしっ」
そこまで言って、はっと口をつぐむ。
周囲に誰も居ないのを見て、ほっと胸を撫で下ろした。
「ああ、麻生さんと幼馴染みなんでしょ?ずっと片思いしてるのよね?」
大きく頷いて、鏡の中の自分を見つめる。
藤原さんが塗ってくれた口紅は、濃いピンク系で、さっきの赤い口紅よりは、少しは大人っぽく見えたんだ。