子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第4章 熱くなる体
麻生 涼side
『愛莉ね~、大人になったら涼くんと結婚するんだ~』
幼い頃良く聞いたセリフ。
『あっそ、はいはい』
全く相手にしない俺。
愛莉は母親同士が同じ職場で、家族同然の付き合い、
5歳年下のちんまいガキ。
―――それが俺の認識。
背の順番で並ぶ学校生活ではいつも一番前、成長の遅い子供、
両親が病院勤めだから、夜勤も多く、留守番もしてたから、
いつも絵を描いては、俺にプレゼントしてくれた。
未だに持っている、愛莉の書いた絵、中には飾ってるモンもあり、
俺はお父さんかと、近い感情があった。
『涼くんの絵』
『お父さんありがとうの絵』
『お母さんありがとうの絵』
天真爛漫でいつまでも子供のまま、変わらない無垢な存在に、
イライラした事もあった。
美大に通い、いくつもの賞を取り、ひょっとして、天才かもと親バカめいた尊敬を抱いた。
美大に通っている頃の愛莉は、正に芸術家のような生活をしてたから、
食べる事も忘れて、一心不乱に絵を描いてる姿を見て鳥肌が立ったもんだ。
叔父の紹介で、デザイン開発課に、才能ある子だと後押ししたのに、
何故だか総務課で腹が立ったモンだ。
後で分かったが、真木が親戚で是非、総務課へと配属が決まったらしい。
面白いオモチャとでも思ったのか、警戒したが、俺と同じお父さん目線で、
可愛いがってるんだと認識した。
香港から帰って来ても、相変わらず変わらない愛莉。
社会に出て、それなりに苦労もして、女は適当にエスコートする術も覚えて、
見掛けしか判断しない女、アクセサリー変わりにしか思ってない女に、
うんざりしていた。
だからイラついた。
からかってやりたかった。
汚してやりたい。
悪い男に苦労させてみたい、大人の恋を教えてやりたいと思った。
飲み会の時に愛莉に言ったのは、本気でもあった。
真木に先を越されなければ、あの時俺が……。
そう思ったのに。
明らかに綺麗になった愛莉。
体のラインが分かる、清楚な服装、
胸が大きくてやらしい体つき、童顔だからギャップが逆にエロくて、
今日は愛莉の噂を何度も耳にした。
総務課は他の課とのパイプ役、出入りも多く、やたらと見掛ける事があった。