子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第1章 片思い
真木部長に手を引かれて、居酒屋に向かう。
飲み会はすでに始まっていたようで、あたしが真木部長と一緒に現れたモノだから。
注目されてしまった。
その中に、涼くんの姿を見つける。
真ん中の席で女子社員にがっちり囲まれている。
涼くんの隣には噂の江藤さんの姿があった。
色気のある、キリッとした美人。
おばあちゃんが、英国の血を引いている、見た目が派手な美形の涼くんとはお似合いだ。
涼くんと目が合って、ふっと笑う笑顔に胸がときめく。
遅れて来たあたしと真木部長に、周囲がどよめき、自然に隣合わせの席になった。
「西島、お前に頼んだコピー、森下さんがやってくれたから、良くお礼しとくようにな?」
真木部長の言葉に周囲が納得する。
「やべっ、忘れてました、森下さんごめんねっ?……コレ、今来たやつだからさ、しっかり飲んで?」
西島くんに差し出されたのは、桃色のジュースらしきモノ。
それを受け取り、真木部長には生ビールが配られ、二人でグラスを合わせた。
「お疲れ様、森下さんは足が長いんだな?」
掘りごたつの席に並んで座り、真木部長とは座っても高さがあるのに。
どういう意味だろう?
「ちっちゃ~、ってか足が届いてないだろ?」
西島くんに笑われて、ムッとしながら、頂いたジュースを飲む。
……ん?
桃の酎ハイだ。
「お前はうるさい」
真木部長に怒られて、西島くんが他の席に逃げるように行きほっとした。
「悪い、そんなつもりで言った訳じゃないんだ」
今日は真木部長に謝られてばかりだ。
「慣れてるから、大丈夫です」
笑いながら、藤原さんに料理が乗った皿を受けとる。
「愛莉、コレも食えよ?」
西島くんが居なくなった席に、視線を上げると涼くんがいた。
お皿にはパスタが乗っている。
「ありがとう涼くん」
涼くんからお皿を受けとると、真木部長と涼くんが、生ビールのグラスを合わせていた。
「……愛莉って、二人は知り合いなのか?」
真木部長の言葉に、はっとして口に手を乗せた。
「幼馴染みなんだよ、こいつの実家、俺んちの隣だからな?昔から変わんないな?成長止まるの早過ぎ」