子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第4章 熱くなる体
10月の総務課の業務で労働者の働き方、リスク管理、総務業務を見直し軌道修正を行う時期で。
労働者の健康確保、職場環境改善に努める時期になる。
ストレスチェック制度の活用、健康診断はこの間実施されて、
その結果により、またストレスチェックの回答も踏まえて、
社員を何人か呼び出して改善に向けての、会議を行う。
要するに相談のようなものだ。
合わせて健康診断の結果の悪い人も呼び出される。
給湯室でお茶の準備をして、女性社員が集まった。
社員には社長や真木部長が応対する為か、自然と真木部長の話になる。
『ああ、あたしも真木部長に呼び出されたいわ~』
『っていうか、森下さんと本当に付き合ってるのかしら?』
『こないだの飲み会でも、お姫様抱っこしてお持ち帰りしたってみんな見てるし』
『でも、あんなチビッ子に、発情するもんかな~?』
『真木部長ってば、幼女趣味だったの~?変態みたいじゃん』
クスクス笑いを聞いて、カァっと頭に血が登った。
あたしはいい、今までだって、ずっと言われて続けた事だから、
だけど、誠也さんまで、悪く言われるのは……っ、
『外見ばかり磨くバカな女に、真木部長はなびかないのよ、森下ちゃんがいい子なのは、一緒に仕事すればみんな分かってるでしょ?』
凛とした言葉が響いて、ドアの隙間から覗くあたしの前に、
藤原さんのスレンダーな体が立ちはだかる。
『……なっ、藤原さん…っ』
一瞬、シンとなる給湯室、
『それに……、好きになったら、外見なんて大した理由にならないでしょ?』
『……だけど、あたしだって、真木部長のこと……っ』
そう言ったのは、総務課で一番モテる、可愛いアイドル顔の佐藤さんだ。
『佐藤さんは色んな男を、とっかえひっかえしてるじゃない?真木部長を本気で狙ってるようには見えないわよ?』
勝ち誇ったような藤原さんの高笑い、ざわついて、収まりのつかない給湯室、
はらはらするあたしの前で、ドアが開き、お茶の乗ったトレーを押し付けられた。
「ちゃんと仕事しましょう?真木部長はそういう姿勢もちゃんと見てるわよ?」
あたしの姿を見て、一瞬で静かになる給湯室。
冷や汗をかきながら、慌てて、真木部長にお茶を持って行ったんだ。