子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第5章 俺の天使
麻生涼side
天使のような愛莉が描く絵は、いつも綺麗で、小学校の夏休みに書いた絵は、
海と空だけだったのに、
あんまり綺麗だったから、部屋に飾ってある。
愛莉がいたから笑って過ごした。
適当な友人はいて、
適当な女もいて、
適当に勉強をして、
本当の友人もいない、うわべだけの付き合い。
女の子もみんなそう。
外見しか見てくれない、そんな風に適当な付き合いしかできない。
大人になり、完璧なデート、エスコート、クルージングにディナー、
ホテルで泊まり乾杯をして、セックスをして。
いつも満たされない。
本当の俺は空っぽで、何もない。
大好きだと言ってくれたのは、愛莉だけだったのに。
俺は怖かった。
本当の俺は空っぽで、愛莉に嫌われてしまったら……。
今のまま、幼馴染みの関係で、家族のようにずっと過ごせれば、
それで良かったのに。
俺が愛莉を傷つけることは、絶対ない。
………それなのに、キスしてしまったのは、魔が差したからか、
自分でも驚いた。