子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第5章 俺の天使
涼くんが栄養失調だなんて……?
お母さんから電話がちょうどあって、色々聞いてみる。
涼くんは誰が食事を用意しないと、基本的に食べないところがある。
実はかなりの面倒臭がりとは、知ってはいたけど、カロリーメイトやプロテインで済ませたりす
る。
洗いモノをしたくない、ゴミを作りたくない、というのが理由みたい。
外食がほとんど。
カップラーメンはゴミが出るから嫌がるし、
コンビニ弁当も不味いし、これまたゴミが出るから嫌がる。
彼女がいれば安心だけど、居ないのなら、様子を見てやって欲しいと頼まれた。
取り敢えず夕食を用意して、涼くんが来るのを待つ。
残業してるかもだから、お風呂に入って、ついでにお弁当を作った。
真木部長と涼くんと、あたしの分だ。
そのまま、テレビを見てから、真木部長とラインのやり取りをして、
いつの間にかうたた寝をしたんだ。
ガタッ、ガタ~ン!
もの凄い物音がして、うたた寝してたのに、寝惚けたまま飛び起きた。
音がした方に行くと、
涼くんが家の玄関先で倒れていた。
「……涼くんっ!」
慌てて傍に駆け付けた。
お母さんは看護師だから、こんな時でも慌てないように、
冷静にまず、状態を見る。
家に入って、倒れてしまった感じで、意識は…ある、脈も…ある。
「涼くん…っ、涼くん…っ」
「……悪い、なんでもないから……」
声かけに反応はある。
あるけど、なんでもないなんて…っ、
「なんでもない人は、いきなり倒れたりしない…っ!」
あたしは腹が立って、涼くんに怒鳴りつけた。
そういえば涼くんは、昔から自分の事には無頓着だった。
一緒にみんなで海に行って、テトラポットにあたしをおんぶして歩いて、
転んでケガした時も、あたしの心配ばかりして、病院に行って、
あたしはただの捻挫だったのに。
涼くんは、翌日に腕の骨折していることに、気付いた。
雨が降って傘が一つしかなくて、あたしが濡れないようにしてくれて、
身長差があるから、涼くんの方が結構濡れて、翌日に熱を出した時もある。
他にもたくさん…思い出したら、きりがない。
基本的に自分のことに、無頓着な涼くん。