子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第5章 俺の天使
体温計で熱を計ったら、38、7分だ。
――――熱が下がらない?
お母さんが看護師で、お父さんは医者だから、風邪をひいた時の対応も、
しっかり学んでいる。
風邪薬もあるし、熱覚ましもある、座薬、つまり、お尻からいれる、熱を下げる薬もある。
ドキン、ドキン、
心臓が早鐘をうつ。
何度もお風呂に入った、お尻だって何度も見た。
少し時間を置いて、また熱を図ると38,9分だ。
やっぱり上がり続けてる。
体力が無くなってるからか……。
冷蔵庫から座薬を出した。
使用したことはある。
お母さんがいない時、お父さんに使ったことあるし、
大丈夫、難しいことじゃない。
なんとなく、マスクをして、座薬をティッシュと一緒に持ち、
苦しそうな涼くんに近付いた。
体を横側にして、くの字の姿勢を取る。
ズボンをずらせて、お尻を出すと、
「……え?……な…に?愛莉……?」
熱でぼんやりした表情、戸惑いを見せてるけど、
「……えい…っ!」
ぷすり、
座薬を涼くんのお尻に挿して、ティッシュで押さえて、ズボンを元に戻す。
「……あっ……!?…な…あ…っ?」
涼くんの体をまた転がして、うつ伏せにして、時間を置く。
「……これで、大丈夫、おやすみ、涼くん」
「…お前…なんてこと…してくれてん…だ…っ」
うつ伏せになり、苦しそうに息をつく涼くんが、じとりとあたしを睨み、
すぐに瞳を閉じた。
そこで安心して、あたしも目を閉じたんだ。