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『ま゜』

第9章 脱出

 音子はわかったようだ。

 すぐに、水戸さんに耳打ちする。

 メカ水戸さんが、ゲームの神の腕を掴む。

 どうやら音子は、水戸さんと間違えて、メカ水戸さんに耳打ちしたようだ。

“離せ……な、なにをするかっ!!”

「わかってんのよ。あなたがやったこと。さあ、案内して。断ると、水戸さんの、胃の匂いが顔にくるわよ」

 水戸さんが、ゲームの神の顔に向けて、口を開く。

“わかった……もう、なにも抵抗せん……”

「水戸さん、今は口を閉じていいわ。下手すると、私も危ないから」

『ま゜』

 音子は獣化した鼻を、ヒクヒクとさせる。

「さあ、どこに扉があるの?」

 ゲームの神が、ゆっくりと指を差す。

「こっちね」

 光が見えない場所を、ミニライト1つと、メカ水戸さんの肩についている2つのライトで、照らしながら歩く。

 画面がある部屋になると、明るいが、部屋を出ると、10センチ先も見えない。

「この、向こうだわ」

 ゲームの神が差した方向にある、扉を開く。

 突然、強い光が音子の目を襲う。

「やだ、眩しい」

 だが、そこから聞こえるのは、子供の声だ。

 光に慣れた音子は、ニヤリと笑った。

「ほらね」

 10帖はあるだろうか?

 煌々と照らされる照明と大きな画面、そして、大きなテーブル。

 その隅に、男女八人の子供が、しゃがみこんで、こちらを見ていた。

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