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『ま゜』

第9章 脱出

“食べてるだと?”

「つまり、この子達には、なにか食事を与えてるのかって、水戸さんロボットは言いたいんだよ」

 徐々にうぶ毛の濃いおばさんに、なりつつある音子が言った。

“ああ……そこにある……”

 ゲームの神が示すところには、冷蔵庫があった。

「冷蔵庫……」

 音子が冷蔵庫を開けてみる。

 中には、生卵とペットボトルに入った水、チョコレート、ベーコンの塊があった。

「これだけ? え、なにか作ってるの?」

“私は、物は食べない。この子達は食うだろうからと用意した”

「減ってる?」

“見たところ、それほど減ってないが……”

 完全なる人間の姿に戻った音子は、子供達に聞いた。

「この中の物を食べた?」

 すると、一人の女の子が、怯えた表情で、「勝手に食べたら怒られると……」と小声で言った。

“なぜ食べない、あったら普通、食べるだろうが”

 音子は、ゲームの神の首を掴む。

「お前、食べていいよの一言も言わなかったのか?」

“言わなきゃ食べないのかぁ……”

「こんなところに連れて来られて、ただそこにあるだけで、食うと思うのか!! この子達は、危険を感じてんだよ!! そんな状況で勝手に食えるわけないだろ!!」

“食わなきゃ生きれないんじゃろ”

「後で聞こうと思ったが、なぜ、子供達をこんなところに閉じ込めたんだ!! 理由を言え!!」

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