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『ま゜』

第5章 神戸港連続殺人事件

 水戸さんが、選んだのは、友人を仲間にするというものだ。

 そして指名した友人が、同じ家政婦であり、体質的に問題を抱える大神音子という女性だ。

“よし、こちらから連絡するから、ちょっとまっておれ”

『ま゜』

 10分後。

 投げ出されるようなかたちで、大神音子が現れた。

「きゃっ! なに、いきなり!」

 上下、紫色のジャージ姿の音子は現状が把握出来ないまま、辺りを見回す。

「え、え、え、どこよ、ここ!?」

“良かったああぁぁ……まともに話が出来る人間だぁぁぁぁ……”

 なぜか、ゲームの神が喜んでいた。

「え、なに!? 誰?」

『い"ぬ゜(音子ちゃーん)』

 水戸さんが、手を振る。

「えっ!? 水戸さん? なんで?」

『……!』

 喋ろうとした水戸さんは、ふと口を止め、携帯電話を出し、文字を打つ。

 打ち終ると、その画面を向けた。

「あの、水戸さん、裏表逆じゃない?」

『ぬ"』

 今度こそ、画面を音子に向けた。


《突然、ごめんなさい。信じられないかもしれないけど、ここはゲームの世界らしいのよ》

 音子は、その文章を読む。

「ふむ……ゲームの世界!? 信じるわよ。だって、自分達が周りに信じられてないのに、せめて自分の身に起こってることくらいは、信じないと」

 話しやすい相手だった。

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