テキストサイズ

『ま゜』

第5章 神戸港連続殺人事件

 水戸さんが携帯電話に、文字を打つ。

《音子ちゃん、匂いで犯人がわからない?》

 音子は、文字を読む。

「ふんふん……あ、匂いは今はダメよ。だって満月じゃないし、変身も出来ない。それに、この世界で匂いがわかるかどうか……」

“いやいやいや、ちょっと待て”

 ゲームの神だ。

“そこの、仲間になったあなた……満月だと、変身するの?”

「はい……それがなにか?」

“いや、普通に言うてはるわ……なんなん!? 生きる屍やら、ロボットやら、変身するおばさんやら、まともなもんが来ないやないかいさ!!” 

「お、お、おばさん!?」

 音子の表情に、曇りがかかる。

“む? どうしたんじゃ? 変身か?”

 その声に対して、水戸さんが、ゲームの神に心で語りかける。

(ダメですよ! 音子ちゃん、おばさんとか言われるとショックを受けるんです。いつまでも永遠のお姉さんでいたいという、痛い願望が強いから、へたにおばさんて言っちゃうと凹んだままで……)

“わかった……うむ、以後気をつけるとしよう。なんとか、落ち着くように、とにかく、わしは忠告以外は口出ししないようにする”

(お願いします)

 音子は俯いたまま、一言も喋らなくなった。

『こ*ら"ば^ば"ぁ<(音子ちゃん、大丈夫?)』

「いま、なんか言わなかった?」

『め"め゜(言ってない)』

「空耳かしら……」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ