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触って、七瀬。ー青い冬ー

第19章 夢色の雨



美しい物を見ると写真に収めたくなる。
それは主に人間じゃない。

例えばそう、

夕焼けに染まる空の下に
長い道路と交差点に光る赤信号
宇宙を透けさせる西側、群青の海

そのたった一瞬の空の結晶はあまりに美しいから
写真を撮るのも忘れてしまう

そして写真に収めたとたん、
美しさは色褪せてしまう。

写真に閉じ込めて永遠の空を手にしたのに
それでもまだ悲しいのは何故?


「失礼」


七瀬夕紀のシャツのボタンを外した。

湿っているのは汗か涙かわからないが


白い肌がすぐ顔を出した。
細身で華奢だが、肉付きは良い。


「カメラ、手持ちで頼む」

「えっ、そんなのやったことないですけど」

「普通にやればいい、ふつうに」

遠くから撮ったのではわからないだろう

「はぁ、」


胸の真ん中にある線をそっと触った

「ぁ…」


気のせいか、小さく声がしたような。


今度は鼻先をそこに近づけた。
汗の匂いはきちんと人間らしい…

唇をそっとつける

「っん」

びく、と体が震えた。

なんだ、やけに


はぁ、と熱い息が額にかかる。

夏の暑さのせいか


シャツを避けて、胸全体を見せる


乳首は既に起き上がっている


薬が効きすぎている、
と気づいたのは少ししてからで

この少年が元々刺激に過敏な体質であることを知ったのはもっと後の話だ


最も敏感なところは最後にとっておく主義だ。


脇腹を撫でてへその下まで手を滑らせる


むず痒そうに体をよじる


「そう焦らず」


そこからまた、上方へ

今度は指先で、くすぐるように


「ん、っ」

足が動き出した


「もう少しの辛抱」


脇の下まで爪先で撫でる

「っあ」


ガクンと体が跳ねてベッドが軋んだ


「まだ先は長いのに」


少し気の毒になる程、過敏だ


ほんの少し、手にローションを取って


また脇腹から撫でる


「っん、ん…」

餌を加えようと皿に口を近づけたら
皿を引っ込められた犬みたいな

単純で正直な感情


早く欲しい


そういう顔がもっとみたい


手のひらは乳首を避けて胸を撫でる
優しくマッサージを繰り返す


親指と人差し指の間にちょうどあるのに
どうしても触れてはくれない


しかし着実に中心に近づいている

乳首の付け根の際を掠める


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