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触って、七瀬。ー青い冬ー

第19章 夢色の雨

「確かに可哀想かもしれない…」

ぴた、と指の動きを止めた。
大人しくなったものの確かに中に存在している親指は、少年にどんな異物感を与えるんだろうか?

肩に力が入って首をすくませている。
しかし痛がる様子はない

「…なんて、」

カメラを持った男の顔を見あげる。

「俺がそんな情け深い奴だと思ってた?」

「いや…」

「だよな?たかが17の少年を汚すくらい
お安い御用なんだよ、俺にとっては」

何を今更。
もう戻れないとこまで来てしまっていた
この3年間。

「…」

こいつが悪いわけじゃないが、
今の行為を押し通すには悪者を作るしかなかった。
本当の悪者は自分、なわけだが。

「なあ、何も建設的な意見言えないなら黙っといてくれる?」

「…はい」

あーあ、こんな空気じゃ本当に飯が不味くなる

カメラをぐいと引っ張って指が入るところを写す

「しっかり撮ってろ、美味しいところだ」


「っんあ、ああっ…」

親指が根元まで入り込んだ

少年は頭を上げて尻を突き出した

「っはあ、あ…」

てっきり逃げようとするかと思ったのに
逆に、求めているように見える

予想外の反応に、カメラの男と顔を見合わせた。

「…これは…?」

「初めてじゃ、なかったりして」

「まさか、婚約してるんだよ」

それも今回はサキと同い年だ。
今度の婚約は高校生同士の恋愛が早とちりしたものだと思って…
だけどその婚約者は今。

「は、やく…」

七瀬夕紀は腰を動かした
指を奥に押し込むようにして

「も、っと…あ、あっ」

奥に当てるのが好きらしい
それが既に癖になっているのも見てわかる
決して初めての様子には見えない

これは、面白い話になりそうだ

また思わず笑みがこぼれる

「そう焦らないで」

指を抜いた

「っん…」

蕩けた顔の少年は物寂しそうに枕に顔を押し付けた

「まだ欲しい?ここに」

指を這わせながら耳元で囁くと、
少年は耳を真っ赤にして黙った

「旦那様…じゃ、なくて」

少年は顔を枕に押し付けたままだ
耳が赤いのにはきっと気づいていなくて
呼吸をするのに必死みたいだ

「…七瀬夕紀君」

耳の穴の入り口を指先でくすぐる

「っう、あ、…や、」

不意打ちに顔をようやく上げた
涙目の少年は私を睨むように見ている
よくわからない子だ

「お望み通りにしてあげる」

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