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触って、七瀬。ー青い冬ー

第19章 夢色の雨




「おお、早いねえ!何、写真まであるの!」

机に投げ出された写真の束は
七瀬夕紀の裸が写っている

結局あの後めちゃくちゃ…

「うわあ、何この子モデルさん?キレーな顔してんねえ!てか、これどしたの?
どっから入手したの!」

「それ撮ったの俺」

「俺って、え?とったあ!?」

「やった。ハメ撮りとかいうやつ?
別に今回が初めてじゃねえけど…ここに持ってくんのは初めてか」

「ちょ…ちょっと社長ついていけないよ!
あむりんが?この子と…?へえー、最近の子はそういうの結構大丈夫なんだ」

「そういうの?別に普通ですよ」

「ふーん?で、これなんで持ってきたの?」

社長は興味ありげに眺めていた

「それ誌面に乗りません?」

それ、というのは少年の卑猥な写真の束だ

「これねえ…」

社長は一瞬黙った後、突然咳き込んだ

「こ、これ!?いやいやダメだよ!
この子若いし、多分未成年でしょ?
こんなの乗せたら社長捕まるからね?」

ち、と舌打ちをする

「やっぱ無茶でしたかね…でも話題になると思ったんすよ」

「たしかに面白いよね!財閥の令嬢の婚約者がこんだけの美少年ってだけでも凄いけどさー
その美少年が男と浮気ってね!
まあどっちも一般人に変わりはないから興味持つ読者は少ないかもだけど」


一般人に変わりはない…


そう、それが今回、七瀬夕紀が婚約を取り消すように仕向ける計画を立てた第1の理由だった


私はこの出版社に情報を売っている。

あの洋館、白鷺サキの住む家に使用人として潜入したのは、彼女が日々行う見合いに訪れる相手の情報を仕入れるためだ

彼らは有名人とは言えないが、時期社長、大手企業の管理職など影響力を持つ者が多く
彼らの不祥事を掴むことができればそれを金にできた

彼らが見合いをする度に情報を入手でき、
サキはその都度婚約をせずに彼らを追い返す

そのサイクルが続く限り、私の懐は満たされる

…はずだったのだが


「これじゃ俺の収入ゼロになっちゃいますよ」


はあ、と煙を吐き出した


「またまめに街中歩き回るしかないねー。
実際その方があのお嬢様の家よりは情報入るでしょ?」

「いや、中々…砂漠の中からダイヤモンド見つけるみたいなもんですよ。それに比べたらあの家は宝の山と言っても過言じゃない」

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