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触って、七瀬。ー青い冬ー

第19章 夢色の雨



このバカ、調子乗ってんじゃねえぞ…っ

高梨が手を動かし始める
長い指が情けないそこを包んで裏の良いとこを
音を立てて扱く

「っい…、いっあ!」

強すぎる感覚がびりびり
痺れてくる身体中がその痛みに似た快楽を
求めている

「あああっ、あ、やめっや、だっ!」

涙なんかこのバカには何にも効かない
ただ細めた目で観察してるだけ

《早く、イって》


ほら、そうやって僕をおもちゃにしてるだけ


「っう、ううっあ…っ」


しあわせ

永遠のような0.5秒


《…あーあ》


白い


「っう…」


ナニカ


「ば…か」


気づいたら泣きじゃくっていた

ねえ、そんなやり方酷いんじゃない

弄ぶだけでちっとも愛なんかないじゃないか



《バカで結構》


すかした顔で薄ら笑い浮かべてる下衆野郎

なんだ、なんだ

突然湧き上がってくる怒り

これは夢なはずだ

なら、夢くらいスッキリ終わらせろ



《じゃ、また》


噴水から飛び跳ねた水しぶきのように

光に照らされて消えていく


「た、か…」


手を伸ばしてみたら空を切って


あの目も消えていった

「たかな」


がし、と手首を掴まれた

なんだ?

これも夢…


「…旦那様」


ベットの上にいたのは高梨じゃない


「っ…!」

僕の顔を覗き込んで、微笑を浮かべている

「気分はいかがです?」

「も…もや…さん…!」

桃屋はいつも通り、使用人の顔で見ている
しかしその目があまりに無関心で

桃屋は僕に顔を近づける

「勝手ながら、拝見させて頂きました。
あと少しお手伝いも」

桃のような甘い香りは
優しく見えてとても危険だ

「て、手伝い…?」

桃屋は手を僕の前に出した
人差し指の白い液はきっと僕のものに違いない

「なっ…!」

待て、待て

どうしてこうなった
いつからこう、なっていた

桃屋はその指を僕の口に突っ込んだ

「っ!」

そして耳たぶを甘く噛んだ

「ひっ…」

首の後ろへ甘い電流が走る

「はい、チーズ」


カシャ、とシャッター音がした

「え?」

にっこり、笑顔が見ている

「よく撮れました」

桃屋が見せたスマホの画面には
二人の不純な接触行為


「けっ、消してください!」

ていうか、なんで

「申し訳ありません」

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