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触って、七瀬。ー青い冬ー

第21章 湖上の雫


ずり、と前も同時に擦られ
車内の床に精液を零した

「あ、きも、ち…」

「もういっちゃった?敏感なんだ」

声、抑えないと
周りにバレてしまう

「大丈夫だよ、誰も気にしてない」

誰も気にしてないわけがないじゃないか…

「気になるなら、隣の人にでも謝っておいたらいいよ」

ああ、そっか
きっとこんなとこでサックスなんかして迷惑だろうな

それに見たくもないもの見せられて

横を盗み見ると、目が合った
…あ、あれ

目が合ったその人は
金色の髪で、目が大きくて
背が高くてマスクをしていて帽子を被っていて
僕を揺らがない目でじっと見ている

「…ひ、紘…さ…!」

まさか、こんなのってあり得ない
酒に酔って幻覚でも見ているんだ

「…どうぞ、お構いなく」

そう言って紘さんは腕を組んで扉に寄りかかり、
眠るように頭を下げた
帽子を被っているから、つばで隠れて多分見えていない…はず

なんで、さっきは大学生を追い払ったのに
…でも今、僕は自分から

「知り合いだったんだね。良かったね、気にしなくていいって…」

サラリーマンの男はシャツの中に手をいれ、
僕の腹周りを撫でる
くすぐられ、むず痒くて耐えきれず逃げようとする

体をよじると満員の車内ではすぐに人に、
紘さんに体重がかかる

男の指先はくすぐりながら胸に上って
脇までもくすぐる

「や、っ…」

びく、と跳ねる肩も紘に当たる
 
「ごめん、なさっ、っ!」

爪先で乳首の先端を弾かれた

「ひ、っーー!」

かり、かり

「っう、ぁ…?」

何、これ?
耳鳴りがする、目眩がする…!

「あ、あぁ…すごく締まった」

男は味をしめて指で乳首を摘んだ

「ーーっ!」

目の前が白く光る

「お、おお…精子絞り取られてるみたいだ」

男の指がくりくり乳首を擦った
声にならない声が喉をしめつける

立っていられなくて紘の腕を掴んだ
紘は帽子の下から僕を見た
先輩として仲良くできると思ったのに
こんなところを見せたらきっと呆れられて…

紘はいつもの目で僕を見ていた
何を考えてるかわからない澄ました目で

その目に見られて、興奮していた
僕のこの姿を見ても落ち着き払ってゆっくりと瞬きをしている

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