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本気になんかならない

第18章 いたよ?

「本物の家の鍵とかは持ってかないよ。

こんなちゃちい鍵、針金でコト足りるから
いいと思ったんだ」

「なっにぃ?」

ちゃちいって言うなら盗るなよ。
俺の!なんだから!

だけど、俺の剣幕に慌てる様子もなく
帆澄はとぼける。

「え?兄貴、本当に鍵なくて
開けられずだったの?

きっとヘアピンでも開けられるよ?」

「よし、開けてみろよ」

奥から2人がひょこっと顔を出し
何があったのかと見つめるのをかまわず、
帆澄を自室に引っぱりこんだ。

「開けていいの?
エッチなグッズとか隠してない?」

「ない!」

苦い顔の俺をうち見し、
帆澄は自分の耳上に手をやった。

そんなとこに、しまってあるのか…

こいつ、スパイにでもなるつもりか?

変に曲がったピンを抜きだした帆澄は、
それを鍵穴に差しこみ

5秒足らずで解錠した。。

「開いたな…」

「楽勝」

ニヤリとする帆澄は
ひきだしは開けずに、またピンで施錠する。

「開けといてくれよ」

俺としては、苦情のつもりだった。

だけど、帆澄は胸を張って
こう言った。

「覗きは趣味じゃない」

窃盗犯のくせに。

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