テキストサイズ

本気になんかならない

第4章 鍵

弾き終わったあと、ハニィが言う。

「タディの音色、優しいね。どうやったらそんな音が出るの?」

「まだまだだよ、俺は」

「彼女がいるからだよな?兄貴」

「いないよ」

「ふうん?でもこれ、女から貰ったろ?」

見ると、俺が机に置いていた財布を帆澄が開いていた。

「お前!人の財布に触るんじゃない!」

俺が駆け寄ると、トンと俺の胸に返す。

「美人な紀ちゃんと、お幸せに」

「は?」

何でわかった?と財布を覗きかえすと、カード入れに何か入っていた。
寝顔の俺と、笑う北里の写真だった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ