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本気になんかならない

第4章 鍵

次の日の夜の始まり
下のふたりには「ゲームしよう!」って引きとめられたけど、帆澄がニヤリとするのを尻目に俺はバーに行ってみた。

北里はカウンターで何かを飲んでいた。

「ひとり?」と、彼女のとなりに立つ。

「私の彼氏ったら気が利かなくてね。カレンダーも読めないのかしら。もうイヴは終わったってのに。連絡もしないで、のこのこと」

…もしかしなくても、酔ってる?

「今日はクリスマスだけど!イヴはもう終わったのよ?何考えてんのよっ!」

すっぽかされたのか?機嫌悪っ。

「北里、これプレゼント。クリスマスの」

「え?和君、くれるの?わぁ!感動っ!」

さっそくに彼女は包みを開ける。
俺が北里に選んだのは、グレーがかったピンクの。

「いい感じ!和君、大好きっ!」

あー、機嫌なおった?

「使って?俺も貰った財布、使わせてもらってる。でも、何で水玉ピンクなんだよ?」

俺がそう尋ねると、彼女は魅力的に微笑んだ。

「手に取るたびに私を思いだせるでしょ?」

「写真もね。弟に見られたよ」

「えっ?やだ、恥ずかしい」

「なら入れるなよ」

「ね、今夜は空いてるの?」

「ごめん。今、弟たちが帰ってきてるんだ。あいつらの前で夜遊びなんてできないよ」

それに、彼氏のかわりってのも何だか嫌だ。

「俺に会いたくなったら指名してよ?だったら都合つけるから」

「ホストですか?」

「北里専属だよ?ゼイタクだろ?」

「そうね。じゃあ、私からもクリスマスプレゼント」

そう言って北里は俺の手に、カチャッとそれを握らせた。
ホルダーのついた鍵だった。

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