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本気になんかならない

第28章 green flowers

電話がかかってきて和史さんが抜け、
テスト勉強のため颯大君が抜け、

「なぁ、これ作ったの誰?」

横に積んでいた空の弁当箱を開け、そのなかに料理を詰めこむ部長に尋ねる。

「和史さん。この店のシェフだし」

「ええっ?全部あの人が?」

「だよな。俺もまだ納得できない。
これは冷蔵庫にとっといて、明日の昼飯にするんだ。

えっと、食事途中で悪いんだけど、そこの皿に適当に盛ってやって?
颯大の夜食に食わせるから」

「ああ、わかった」
とうなずいたあとに俺は続ける。

「俺、千尋さんって人が作ったのかと思ってた。
今日は休み?」

「ああ、颯大のお兄さんね。
まだ会ってなかったんだ?店長だよ。

昼すぎには一緒に飾りつけして、歓迎会を楽しみにしてたんだけど、ひいおじいさんが体調崩したとかで、親と田舎に帰ったんだ。
試験が終われば颯大も向かうだろうし、宮石が来てくれてよかったよ。
ただでさえ、人不足だし」

てことは、しばらくは店長に挨拶できない。
それよりも問題は、

「俺、バイトなんて初めてで、右も左もわかんないから足手まといだぞ…」

「大丈夫。何とかなるって」

そうなんだろうか。
でも、そんな窮地と知っては、本当に辞められないな…。

「まずは、注文を取れるようになってもらわないと」

「うん。
貴志にすごく頼って悪いけど、ご指導よろしく」

「……お前。俺の名前、知ってたんだな」

頭に手をやり顔をうつむけ、部長は妙な照れかたをした。

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