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本気になんかならない

第33章 告白

駐車場から小さな池をまわって辿りつくその建物。
ノスタルジックな雰囲気の内装で、俺たちはコートをスタッフに預けて、マホガニーのアンティークな椅子にかける。
マントルピース上の小物を見つめて、ひそっと北里が話しかけてくる。

「こんなお店の個室なんて、予約、大変じゃなかった?」

「んー?あまり知られてない店だから、何とかなっちゃった」

「そうなの?
それに…ねぇ、すごく高いんじゃない?」

「ごめん。そんな、高級じゃないんだ。
だから、今日は俺に任せて?」

だってここは、裏側から入った俺の家。
以前は、お客様用の部屋だったとか。

今回、北里と食事ということで俺も
彼女の気に入りそうなお店を当たってみたんだけど、そこはクリスマス直前、どこも予約でいっぱいだったから。
急ぎ、セッティングしたんだ。

どうしても北里に喜んでもらいたかったから。

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