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本気になんかならない

第34章 & # 9 8 2 5 ;

「ハニィ(妹)、待ってるから行っておいで?」
と先に図書館に入らせた帆澄。

「兄貴も来てたんだ」と話しだす。
バツの悪そうな表情をしてるのは、受験生だからか。
今の俺は、お前を叱る気力もないのに。

そして思いついた俺は、弟の肩にポンと手を乗せる。

「なあ、帆澄。
今日の夕方までつきあってくれない?」

「え?なんで?」

「気分転換にこれから、ケーキ作るの手伝って?」

「ケーキ?」と、首をひねる帆澄。

「前のバイト先から指令があったんだ。
チョコケーキを作れって」

この時間からのケーキ作り。
仕事を明日にずらせば、ひとりでできないこともない。
きっと、一般的なケーキでいいはずだし。

だけど、弟妹と作ったほうが楽しいだろう。
俺ひとり、ミイラ気分にだだ浸ってしまうと、見るも無惨な冥界ケーキができあがりそうだし。
と考えて、誘ってみた。

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