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本気になんかならない

第40章 My own decision

***

彼が受けいれてくれた腕のなか、抜けだしてカップを洗う。

「そろそろ出なきゃ。和君も今夜はパーティーでしょ?」

「パーティーって?あ、これ、使っていい?」

私のあとをついてきた彼は、キッチンタオルで拭いてくれた。

「貴志君って人を励ます会なんじゃないの?紗波がお菓子の家を作らせてもらったわよ?」

「え?貴志を励ます会?…内定祝いは年末にしたんだけどな」

狭い台所にふたり並ぶと、夫婦みたいな気分になるね。
そんな無邪気な言葉は胸にしまって、彼との会話を続ける。

「じゃあ、何かショックなことでもあったんじゃない?」

「そうかも…。あ、もしかして!っ俺、自転車で、このまま店に行ってくるよ。送れなくてごめん」

「そんなことないわ。来てくれてありがとう」

返事に彼は優しいキスをくれた。

大好きよ、和君。
本当は私もね、あなたと結婚したいの。

そんな思いが、口元に込みあげる。

まだまだ離れたくない、彼の近くにいたいけど。

ふたりで部屋をあとにして、彼が手配してくれたタクシーに乗りこんだ。

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