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好きだって気づいたとき

第17章 気がついたとき

「そう言えば友哉、1年の夏休みの部活最中にぶっ倒れたよな。
俺、たまたまのぞきに行って部長に聞いてさ、びっくりして保健室にまでダッシュだったよ」

「あぁ、そんな事もあったよな」

「そう言えばあの時、部活のOBだかなんだかって人がいなかったっけ?」

「そう・・・だったか?」


嫌な事思い出しちゃったじゃねぇか。
あれからちょこちょこ覗きに来たり、文化祭の演奏の時も見に来たけど、幸い俺は2年生からいろいろ任され、来年部長になってくれと既に言われていたから、先輩の入る隙がなかったのがすくいだった。

文化祭の写真を見ていると電話が鳴った。


「誰だろう・・・あっ!」

「あって、誰から?」

「今話してたOB」


何だよ、何の用だよ。


「どうした友哉。出ないの?」


出たくない。
出ないとまたかかってくる。
遼太にも変な顔される。
思い切って出ることにした。


『はい、もしもし』

『もしもし友哉?俺だけど』

『もしもし、お久しぶりです』

『友哉、転校するんだって?
今日学校行ったらいないから、どうしたのか聞いたら引っ越すって聞いて・・・』

『はい・・・』

『いつ引っ越すの?』

『明後日です』

『えっ!?そんなに急に?』

『あぁ・・・はい』

『そんなんだ・・・どこ?どこに引っ越すの?』

『あの・・・それは・・・』

根掘り葉掘りしつこく聞いてくる先輩。
どこに引っ越すかなんて、教えるわけないじゃん。
もごもごと話している事を変に思ったのか、俺の顔をじっと見る遼太。


「友哉、どうしたの?」

「うぅん、何でもない」



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