テキストサイズ

好きだって気づいたとき

第19章 思い出の場所巡り

息を整え、服も整え出かける準備をした。
リビングから玄関までの短い間でも、手を繋いでいた。


「友哉」

「・・・?」


玄関を出る前にキスした。
2人で自転車に乗り、ファーストフード店に行き、サッサと食べて俺達が通った小学校へ向かった。


「懐かしいなぁ・・・」

「小学校生活も終わりって時に転校してきて、友達なんてできるわけないって思ったし、オヤジを正直恨んだよ。
でもさ・・・」

「でも・・・何?」

「でもお前に会えた。健人とまさとにも会えた。
それでお前と今もこうして一緒にいられる」

「友哉・・・」


門の前で話していると、偶然6年生の時の担任の先生に会った。
ここへ来た事情を話すと、教室に入れてくれた。


「うわぁ〜、懐かしい。
あれ、こんなにも机って小さかったっけ?」

「小さいんじゃなくて俺達が大きくなったんだよ」

「あっ、そっか。
あん時俺は・・・そうそう俺はこの席で、友哉は・・・」

「俺はこの席。
あんときお前、鼻の下に鉛筆挟んで俺に確か“よっ!”って挨拶してきたんだよ」

「俺、そんな事したかな?」

「したよ。
俺そん時、正直“なんだコイツ”って思ったもん」


教室でしばらく話し校内を見て周り、先生に挨拶をして学校を後にした。


「どこ行く?」

「俺たちと言えば、あそこしかないでしょ」

「だよね〜」


そう言って、近くのコンビニに立ち寄り、飲み物を買った。


「俺たちと言えばここでしょ」


何かあると必ずやってくる大きな木。
自転車を止め、馴れた手つきというか足さばきというかで、スルスルと登っていく俺達。


「こんなにこの木って低かったっけ?」

「俺達の背が伸びたって事だよ」





ストーリーメニュー

TOPTOPへ