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好きだって気づいたとき

第19章 思い出の場所巡り

最後に立ち寄ったマンションの屋上。
おれにとってあまりいい思い出じゃない場所。
友梨耶と初めてキスした場所。
したくてしたわけじゃなかったからね。


「なぁ遼太、ここって一緒来たことないよな」

「うん、お前とはないよ」

「お前とはって、じゃあ思い出の場所でもなんでないんじゃねぇ?」

「俺にとっていい思い出じゃない場所だからさ・・・」


えっ!?
遼太、もしかして・・・


「いい思い出に替えてくさ」

「何が・・・あったの?」

「ここ、愛里と初めてキスし場所」


やっぱり・・・


「むしろいい思い出なんじゃねぇ?」

「俺が望んでした訳じゃないし。
あいつが求めてきて、あいつにリードされる感じだったから」

「・・・」

「なぁ友哉、まさかと思うけど、友梨耶とキスしたのここだったとか・・・」

「・・・」


思わず背中を向け、反対方向を見た。
そんな俺に近づく遼太。
肩に手を置き振り向かせた。
何だかちょっと恥ずかしくて下を向いた。


「やっぱりな」


そう言って俺の顔を両手包み、そっと唇を重ねた。
優しいキス。
唇が離れるとおでこをくっつけた。


「よし、これでここは俺とお前とのいい思い出の場所に替った」

「うん」

「さぁ、もういい時間だから、飯食って帰ろ」

「そうだな」

「今夜もお前とたくさん思い出作りしないとね」

「バカっ!」

「友哉可愛い・・・チュッ!」


おでこにチュッ!とキスして、手を繋いでマンションを下りた。



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