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好きだって気づいたとき

第20章 これもひとつの思い出

ありきたりだけど、ファミレスで晩御飯を食べることにした。
こんなにもよく来ているファミレスなのに、久しぶりに中学の同級生に会った。
久しぶりすぎて思い出話でめちゃくちゃ盛り上がった。
遼太はちょっとだけ機嫌が悪かったけど、俺は凄く楽しかった。


「じゃあな友哉、元気でやれよ」

「ありがとう。お前らも元気でな」


店を出て、家に帰ろうとすると遼太の携帯が鳴った。


『うん・・・わかった。今から行くよ』

「友哉、ちょっとだけ家に行ってくるよ。
お袋がお前に渡したい物があるんだって。
家に行って貰ってくるよ」

「わかった、先帰ってるよ」


一旦遼太と別れ、1人で家に向かった。


「久しぶりに楽しかったな・・・はぁ・・・
明日か・・・やっぱ寂しいな」


ため息をつきながら家に向かうと、家の前に誰かが立っていた。


「あの~、何か用ですか?
訪問販売ならうち明日引っ越すんで・・・!!」


そこに立っていたのは訪問販売でも何でもなかった。


「あっ、友哉・・・会えてよかった」


和太鼓部の先輩だった。


「どうしてここがわかったんですか?」

「学校にどうしても会って渡したい物があるからって住所教えてもらっちゃった。
あえてうれしいよ」

「渡したいものってなんですか?」

「最後に少しだけ話したいなぁって思って・・・ダメかな?」


とまどったけど、少しならと家に入れた。


「引越し明日なんで、お茶くらいしかないですけど」

「全然かまわないで。
友哉と話しがしたかっただけだから」


コップにお茶を注ぎテーブルに置いた。

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