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好きだって気づいたとき

第3章 中学校生活開始。

「結局あの時、遼太に告白されたかどうか聞けなかったな」


中学に入って部活に入るまでは、登下校は遼太と一緒だったから付き合ってる様子はなかったけど。


「まぁこれも4、5年前の事。
今さら気にしたってどつしようもないや。
あっ、これ入学式の時の写真だ」


入学式の日、大きく“入学式”と書いてある前で借り物のような大きな制服を着た野生児4人で撮った写真。


「何か“イェー!”とかやってるけどこの時はまだ全然落ち着きねぇな」


新しい友達ができるまでは、あいかわらず俺達4人でつるんでいた。
俺は健人と、遼太は雅人と同じクラスになった。
しばらくしてそれぞれいろんな部活に入り、どんどんいろんな友達ができていった。
遼太はバスケ、健人と雅人はサッカー、俺は空手の練習に差し支えない、練習日の少ない卓球部に入った。


「部活入ってからなかなか一緒にって事は少なくなったよな。
遼太は明るいし、分け隔てなく人と付き合えるから、すぐ友達できたし。
俺はもともと人見知りだし、ちょっとぶっきらぼうだからなかなかできなかったな」


中学生になってから、何か遼太と距離が遠くなった気がした。
ちょっとやんちゃっぽいやつは遼太に近づき、そうじゃないやつは遼太から話しかける。
いつもあいつの周りには人がいた。


「あの頃あいつの目には俺は映っていたのかって心配になってりしたな」


その頃から、あの大きな木に4人で集まる事は少なくなった。
でも俺は悩み事や考え事がある時は、あの木の上に1人で行っていた。


「あとであの木の上に行ってこようかな」


アルバムをめくると、次は夏休みの写真だった。


「中学のときって、写真少ないんだな」

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