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好きだって気づいたとき

第5章 文化祭

中学入って初の大イベント、学園祭。
他のやつはどうかわからないけど、何だかちょっと大人になった気分。
小学生の時は・・・と言ってもたった半年くらい前のことだけど、学園祭と言うか、学習発表会で授業で製作した物を教室に展示するだけ。
あとはお芝居というか劇の発表、演奏会をしただけ。
中学になったら何をするかを自分達で決め、決まれば必要な物を自分達で調達して製作していく。
先生はほとんどノータッチ。
そりゃあちょっと大人になった気分にもなるよ。
学園ドラマでよく見るやつ。


「なぁ智哉、智哉のクラスは何するの?」

「ばぁか、そんな事言えるわけないだろ?」

「・・・あっ、そっか」


久しぶりに遼太と木登りしている。


「でも何かさ、計画から準備から製作まで全部自分達でするなんて、何かちょっと大人になった気分じゃね?」

「・・・えっ!?」

「学園ドラマみたいじゃねぇ?」

「うわっ、気持ちわる!」

「何だよ気持ち悪いって」

「いやぁ、だってまたお前が・・・」

「だってさ、小学校のときはさ、授業で決められたもの作って展示しただけだろ?
だから学園ドラマとかみたいだなって思ってさ。
智哉は思わなかった?」

「そんな事・・・思わなかったよ」

「俺だけかよ・・・
俺の事ガキだなんて思わないでくれよ」

「そんな事思わないよ」


何だ、また俺の心を読んだのかと思った。
それはそれでちょっと嬉しかったりた。
違ったとわかって、喜んだ自分がちょっと恥ずかしく思えた。


「何でもしかして心読まれたっ思ったとき、それを嬉しいって思ったんだろう」


あいかわらず猿のように木をするすると登っている遼太を見ながらおもった。


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