テキストサイズ

好きだって気づいたとき

第6章 体育祭

「手はこうで、体はこう。
それでこうして・・・」


この公園に着いた時よりさらに暗くなり、公園の電気の灯りの下、練習を続けた。


「俺、背中でお前の体支えるから、言った通りにやってみ」

「うん。
1、2の・・・3・・・あっ、あっ出来た!」


俺の支えるありだけど、逆上がり成功。
何かメチャクチャ嬉しそう。


「感覚掴めた?
じゃぁ、俺の支えなしでなってみ」

「うん。せぇのぉ、それっ」

「それ、もう少し。
がんばれ・・・あっ、よしできた!」


できなかった松田が、逆上がりができるようになった。


「できた、できたよ甲斐田君」

「すげぇ、出来たじゃねぇか」

「うん、俺1人で逆上がりできたよ」


嬉しそうに鉄棒からおりてきた。


「甲斐田君のおかげだよ、ありがとう」

「俺は何もしてねぇよ。
お前が頑張ったからできたんだよ」


気が付いたらもう辺りは真っ暗になっていた。


「ごめんね、暗くなるまでつきあわせちゃって」

「大丈夫だよ」

「あのさ・・・甲斐田君・・・」

「んっ?・・・何だよ」

「友達になってもらえる?」

「へっ?・・・今頃何?
オレ達友達でしょ?」

「甲斐田君・・・ありがとう」

「お前が嫌じゃなかったら、智哉って呼んでくれていいよ」

「本当?」

「うん。
俺も転校してきてから名前で呼ばれるようになったんだ」

「そうなんだ・・・」

「あいつ、遼太がさ、初めてだったんだ。
転校してきたばかりの俺には、凄く嬉しいことだったんだ」


歩きながら話していた。


「あっ、おれこっちだから・・・
今日は本当にありがとう・・・智哉」


照れくさそうに俺の名前を言って、帰って行った。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ