テキストサイズ

好きだって気づいたとき

第7章 野外学習

「部活なんてどうでもいいよ」

「どうでもよくないよ。
レギュラーに選ばれるかどうか・・・」

「智哉、話しすりかえんじゃねぇよ。
だから何で急に引っ越すことになったんだよ」

「・・・親が、離婚したんだよ。
それでお袋の実家近くに引っ越すことになったんだよ」

「別に引っ越すことにないじゃん」

「親父にいつどこで会うかわからないここにいたくないんだってさ」

「そんな・・・」

「俺の大学受験のために働かないといけないし、お袋の実家に近いから助けてもらえるようにだってさ」

「お前、それでいいの?」

「いいも悪いも・・・もう決まった事だし」


俺達はしばらく黙っていた。


「智哉、また会えるよな」

「うん、会えるよ。
別に海外へ行くわけじゃないんだしさ」


見たことないくらいの悲しい顔をする遼太。
強がっているものの、俺だって寂しいよ。


「遼太、何か飲むか?」

「うん、走ってきたから喉乾いちゃった」

「待ってて、飲み物持ってくるよ」


冷蔵庫からお茶を2本持って部屋に戻った。
遼太は俺が片付けたいはずのアルバムを出して見ていた。


「おい遼太、片付けたのに・・・
それにお前こんなとこいて大丈夫か?」

「大丈夫、大丈夫。
なぁ智哉、これ懐かしいな」

「んっ、どれどれ・・・」

「中2のキャンプの写真」

「あぁ、そう言えば健人もまさともみんな同じクラスになったんだよな」

「キャンプファイヤーの出し物、俺達馬鹿やったよな」


俺達は床にうつ伏せ、体を寄せ合いアルバムを見ていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ