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好きだって気づいたとき

第7章 野外学習

「あ〜、全部思い出したよ。
まったく、あんときは参ったよ」


遼太を見るとあの時と同じで全然笑ってない。
興味がないのか、怒っているのか、思い出したくなかったのか。


「あんとき俺、お前に助けて欲しくてお前にずっと視線送ってたのに、全然気づいてくれなくてさ」

「うん・・・」

「俺の考えているとわかってくれると思ってずっと“助けて”って念じてたんだよ」

「あっそう・・・」


その話題に触れたくないのか何なのか、他の写真を見ている遼太。


「なぁ遼太、俺があんな事させられたりされたりしてるの見て、何とも思わなかったのかよ」

「何とも・・・
何とも思わないわけねぇだろ!」


アルバムをめくる手を止めて、大きな声をあげた。
そしてじっと俺を見つめた。
俺もしばらく見つめ返していたけど、急にドキッとして目をそらした。
俺はなんと言う質問をしたんだ?


「じゃっ、じゃあ助けてくれてもよかったのに」

「盛り上がってるところ、水を差すような事、出来るわけねぇだろ」

「まぁ、確かにそうだよな・・・」


そのまま黙ってアルバムを見ていた。


「この後、とくに大きな行事がなかったから写真は少ないな」

「そうだね。
あっ、そう言えばキャンプの後くらいに遼太、愛里と付き合ったよな」

「智哉も友梨耶と付き合ってたよな」


小学校卒業記念で何人かで遊園地に遊びに行った時、友梨耶に告られた。
その時は気がなくて、友梨耶は中学に入ってから他の男と付き合いだした。
遼太もあの時愛里に告られていたのかな?


「でも中3の夏休みくらいに別れたんだよな」

「受験もあったし・・・なぁ」

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