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好きだって気づいたとき

第7章 野外学習

俺ともう1人、江木がみんなの前に立たされた。


「ヒュ〜ヒュ〜!」

「やれやれ〜」

「マジでやんの?」

「誰も口と口とはいってねぇよ」

「マジすっかよ!
え〜・・・マジちょっ・・・え〜」


動揺を隠しきれない俺。
俺はなぜか遼太に救いを求めた。
求めたと言うか、いつものように俺の思っている事をわかってくれるかと遼太に目線を送った。


ー遼太、助けて・・・んっ?ー


遼太に目線をやると、興味がないのか見たくないのかわからないけど、下を向いてこっちを全然見てくれない。


ー遼太、助けてくれよー


もう一度強く念じた。
でも全く見てくれないし助けてもくれない。


ー遼太のバカ!こうなったらヤケだ!ー


「どっちがするかジャンケンしようぜ」

「2回戦したんだから、お互いにしろよ」

「そんな事いってねぇし」

「それいいね」


俺達の気持ちは全く無視。
仕方なく順番にお互いのほっぺにする事にした。


「チュー!チュー!チュー・・・」


手拍子と共にみんなが盛り上がってきた。
そしてその時がきた。
初めは江木から俺にチュー。


「ひゃ〜!!」


みんなが叫んだ。


「甲斐田、行け!」


どうにでもなれ!
俺は江木の方に手を置き、ほっぺにチューをした。


「う〜わっ!う〜わっ!」

「ひや〜っ!」


遼太はやっぱり下を向いて全然見ていない。


「14年の中で、1番のダメージくらってる」

「悪ぃ、もう寝るは」


みんなで布団に入り電気を消した。
何かすっごく疲れたよ。
何で遼太は助けてくれなかったのかな?
そんな事を考えていると、隣の布団から遼太が手をのばしてきた。
小学校の卒業式を思い出して、手を繋いで眠った。






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