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Memory of Night

第2章 部屋


「んー、こんな感じかな」


 晃はロープを左手におさめ、宵の体の上で片膝をついた格好でつぶやいた。

 ロープといっても荷造り用の細いものだ。宵の両手首を頭の上で一まとめにし、ベッドの柱にくくりつけた。

 拘束されているのは手首だけ。晃は余ったロープを机の上に置き、宵の姿を楽しげに眺めた。


「……ジロジロ見んなよ」


 居心地の悪さに宵が顔を背けると、晃はそんな宵をからかうように宵の胸元を撫でた。

 宵は晃に視線を戻し、晃の顔を、じっと見つめ返してくる。

 強い眼光を宿したその瞳は、晃を不思議な気分にさせた。


「キレイだな。……このまま痛ぶって、泣かせてやるのもなんかおもしろそう」

「あんたってそっちの趣味? SMとか好きなわけ?」

「ん? 嫌いじゃないけど。普通」


 ……普通。縛りや女装を要求してくる時点で、すでに普通ではない気がする。


「そんな顔するなよ」


 疑わしげな顔をする宵に、晃は苦笑する。

 そしてまた、再開される愛撫。

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