Memory of Night
第2章 部屋
もともと宵は、性的な遊びにそれほど夢中になったことはなかった。
セックスに、耐えがたいほどの嫌悪を感じたことはない。だから初めて体を売った時も、それほど抵抗を感じなかった。
ただ、自分がわからなくなるほどの快感を感じたこともなかった。
セックスなんて宵にとってはバイトみたいなもので、お金を稼ぐ為の一つの手段に過ぎなかった。
今までずっと、そう割りきっていたはずなのに――。
晃の下にいる自分はいったいどうなってしまったんだろう。
「ふ……ん……っ」
自分のものとは思えないような熱い吐息が、また晃の唇に吸いこまれる。
唇を塞がれ、舌を弄ばれながら、執拗な愛撫が続いている。
胸や大事な部分を刺激され、体はどんどん熱くなっていく。
(コイツ……すげー慣れてるっ!)
晃の愛撫は巧みでうまい。敏感な部分を、的確に刺激してくる。
自然と息が上がる。
「んっ……はぁ」
ようやく唇が離れ、宵は深く息をついた。
「エロい顔」
さっきまでの優等生の顔とは違う、意地の悪い笑みを浮かべて晃が囁く。