Memory of Night
第2章 部屋
宵は思わず、晃を睨みつけてしまう。
「これ、ほどけよ。邪魔なんだよ」
縛られた手首を軽く振って、宵は言った。
手首をまとめあげられた体勢は、ひどく窮屈だ。それに、手が使えなければまともに奉仕だってできやしない。
「やだよ。縛っていいって言っただろ?」
「言ったけど……。これじゃなんにもできねーじゃん。それに、その分ちゃんと金……」
「はいはいちゃんと払うって。まったく……そんなに金がほしいの?」
晃が苦笑する。
そうして、ベッドの上に横たわり、頬を紅潮させて睨めつけてくる宵に意地悪な眼差しを向けた。
「だったら、もっと楽しませてよ」
声に甘さを滲ませて言い放ち、同時に宵の下肢をぎゅっと握り込む。
「……っ、わかった」
宵は、息を呑んで頷いた。
口元を綻ばせて囁く晃の声は、不思議な甘さと黒さを同時に含んでいた――。