Memory of Night
第9章 予感
「……にしてはマジメねー」
半分ほど埋まったプリントを見つめながら、明は軽く首をかしげた。
「明は?」
「あたし、貧血持ちなんだよねー。寝不足とか疲れとか、まぁ女の子のアレとか重なると結構しんどくて、たまに保健室のお世話になってマス」
「へぇー」
そう言えば、先ほどの時間明は教室にいなかった。
自習といえども、明がいれば騒がしくなった教室を鎮めてくれていただろうと思い当たる。
唐突に、明はソファーに置いていた手を放した。
「ずいぶん寝たしそろそろ戻るね。……てゆうか先生は?」
「知らね。ずっといないよ」
「えーだめじゃんっ」
「戻っていーよ。来たら言っとくし」
手を止めて明を見る。
だが、明の顔色が悪いことに気付いて言葉を止めた。
頬に赤みがない。肌はもとから白い方だった気もするが、それにしたって蒼白い。
「本当に戻って平気なのか?」
「大丈夫よ。ちょっとフラフラするにはするけど」
「じゃあ寝てればいーのに」
明はうんざりした顔でベッドに軽く視線をやった。